Episode 9

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小さな一歩はやがて
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 エベレストを登頂した盲目の登山家の講演を聴く機会があった。

 

「目が見えない中で、どうやって世界最高峰を登頂したのですか?」

インタビュアーのその質問は、誰もが一番気になるところだっただろう。

その質問に彼は、こんな風に答えていた。

 

「まずは勇気を出して、足を前に動かした。それを繰り返していたら、辿り着いたんだ」

 

彼の言葉から、2つの大事なことを学んだ。

 

1. 雲に隠れて見えない頂上を目指すにも、目の前の一歩を踏み出し続けること

2. 雲の上のであるかのような遠い目標でも、イメージを持ち続けること

 

まとめると、「どんな高い目標に対しても具体的なビジョンを持ち、そこに向けた適切な一歩を積み重ねること」と言える。

 

僕には、日々のトレーニングや思ったことをノートに書きとめる習慣があった。

その人の言葉を忘れたくなくて、そのノートに書きつづった。

 

トレーニングを重ねても思うような成果が出ないとき、

どんなに頑張っても何も変わらないんじゃないかと不安を感じたとき、

彼の言葉を何度も読んで、自分を励ました。

 

彼の言葉を再び胸に刻むと、今度は過去の自分の書いたノートを見返した。

今の僕が当たり前にできていることを、2年前の僕は一生懸命習得しようとしていた。

今の僕が当たり前にできていることを、1年前の僕はようやく習得していた。

 

足の速さが、スタートのフォームが、磨かれていることを喜ぶ過去の自分。

さまざまな瞬間の自分がいた。

 

-当たり前のようだけど、そうではない。

 努力を重ねてできるようになったことは、今の僕が思う以上にあったんだ。

 

それまでに積み重ねた練習をや少しずつレベルアップをしていく感動を思い出すことで、何度も自信を取り戻した。

そして、一つ一つの技術の向上に喜んでいたころの自分に立ち返り、初心を取り戻すことが出来た。

 

その延長線上で僕は、ビーチフラッグスの王者であるサイモン・ハリスに大会で1勝することができた。

人生をかけてでも成し遂げたかった目標を達成できたその時、盲目の登山家である彼の言葉がよりいっそう腑に落ちた。

自分自身のやってきたことに自信が湧き、それ以降の練習にはますます力が入るようになったんだ。

 

基礎的な練習が続くと、

 

「もっとレベルの高いことをできるようにならなきゃ」

 

と、僕たちは思いがちだ。

 

でも、本当に大切なのは目の前の一歩を踏み出し続けることなんだ。

焦らず、足元を大切に練習を重ねていこう

和田賢一