Episode 12

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地道なトレーニングを
楽しむ秘訣
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僕がビーチフラッグスを始めた時、僕より速い選手はたくさんいた。

彼らと比較していると苦しくて、追いつこうとつい無理をしてしまう。

結果、ケガを負ってしまいしばらく練習ができなくなる。

そんな負の連鎖を何度も経験した。

 

一方で、相手に勝てればいいというわけでもなかった。

僕は負けず嫌いではあったけれど、「倒す」「負かす」「勝つ」といったことにも苦手意識があった。

子どものころからそういう性格で、小学校のイス取りゲームでは

 

「僕が座ることで座れない人がいるなら、譲ってあげた方がマシだ」

 

と、思っていたものだった。

 

しかし、スポーツの世界において相手に勝つことを、避けるわけにはいかない。

ビーチフラッグスは先に旗を奪取した選手が勝ちという、紛れもなく勝敗を競う競技なのだ。

 

僕にとっては、勝っても負けても苦しい勝負の世界。

相手を倒す意識では続けていけないであろうことは容易に想像できた。

 

それでもビーチフラッグスという競技を追求し続けているのは、誰よりも速く走ることで、世界で一番人を救える人間になれるからだ。

 

でも、遠くを目指して志だけを追いかけ続けていると、やがてつらい局面がやってくる。

厳しい練習においても楽しさや醍醐味なくして、一つのことを長く続けるのは難しい。

だから僕は、足元の地道な練習にもやりがいを見出していこうと決めた。

 

好奇心旺盛な気質からか「自分自身の身体を使って、どうすれば速く走れるのか」ということへの興味が尽きなかった。

 

いかに速く走るか。

いかに無駄な動きをそぎ落としていくか。

どこまで本質的な動きができるか。

 

自分の身体を使って、実験し続けた。

小さな一歩が確実に重なり、答えに近付いている手応えに充実感を覚えた。

 

僕の軸において、試合はいわば、それまでのトレーニングの成果を確認する機会だ。

 

「ライバル選手に勝てるかどうか」

 

というよりも、

 

「これまでのトレーニングはライバル選手を越えるのに適切な方向性と量だったか」

 

と、自分自身に矢印を向けて臨んでいる。

 

そうやって本質を追求し続けると、一定のラインを越えたところで芸術性が宿り始める。

そう体感することがここ最近増えてきた。

 

「ビーチフラッグスにおける、本質的・芸術的な動きの追求」

 

これがビーチフラッグス・走りにおける、今の僕の自分軸だ。

 

だから、練習中にいつもより軽い力で速く動けた瞬間には、試合で好成績を収めたとき以上の達成感がある。

 

そして、この自分軸をブラッシュアップし続けることはそのまま、救える命が増えることを意味する。

 

決して枯れない心の源泉と、練習におけるオリジナルの軸を育むこと。

それにより必要以上には周囲に左右されず、自分自身の努力と成果に夢中になれること。

それらのおかげで僕は、一見シンプルな「走る」という動きに深みを見出し、今もワクワクしながら追求し続けることが出来ている。

 

心の源泉=足が速くなりたい動機については、最初のエピソードで君に質問させてもらっていたと思う。

すでに自分の答えを持っている人もいれば、一生懸命探し始めてくれた人もいるだろう。

 

では、地道な練習における君の自分軸は何だろう。

何ができたときに、ガッツポーズしたくなる?

 

昨日よりもベースポジションがより安定したフォームで達成できたこと?

野球で、それまで捕れなかったような難しいあたりが捕れるようになったこと?

走りの継続が自信や勇気になり、好きな子と前よりも少しだけ堂々と話せるようになったこと?

 

どんなことだって、全てが素晴らしいと僕は思っている。

君自身にしかつかめない、君の成果だ。

 

自分自身の成果を楽しみ、ときには時に悔しさを感じながら、自分だけの軸ややりがいを育み続けていこう。

和田賢一
 

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